陶とガラス

私は陶とガラスで、彫刻作品や器を制作しています。

また、「陶胎硝子鋳造(とうたいがらすちゅうぞう)」という独自の技法を考案し、研究しています。
この技法は、陶器にガラスを熔着させ、ガラスに貫入(ヒビ割れ)を入れる造形技法です。

直接手で触って形を作ることができる粘土と、光を通したり屈折させたり視覚効果のあるガラス。
双方に魅了されました。

陶もガラスも窯を使って焼いています。
素材が窯の中で、予想外な変化をすることも。

自分の作為を超えたものが出来上がってくることが、窯を使う醍醐味だと思っています。

作品は、身近な植物・動物・景色を観察し、おもしろいと思った色・動き・構造から発想しています。

私がおもしろい!美しい!と感じたことが、作品を通して伝わり、楽しい明るい気分になっていただけましたら幸いです。
キラキラするヒビの美しさも、楽しんでいただきたいと願っております。

A feature of my works is cracks in the glass piece.
I use an unusual technique to crack the glass intentionally.
Cracks are happened when a ceramic is covered with glass because the coefficient of thermal expansions are different.
I’m deeply interested in the cracks of reflected light.

陶胎硝子鋳造 hibiki(とうたいがらすちゅうぞう ひびき)

「陶胎硝子鋳造」とは、陶器の表面に、ガラスを溶かし付着させ、造形する技法です。

特徴は、ガラスに入る貫入(ひび割れ)です。
貫入に、素材の良さを引き立てあう美しさを感じています。

貫入が入ったガラスが崩れずに、形状を維持できることができる造形表現を目的としています。

直接手で触れ続けて成形できることに親しみを感じる陶と、人の視点や光の環境によって変化する輝きに美しさを感じるガラス。
魅力ある二つの素材を同時に扱いたいという欲求が、「陶胎硝子鋳造」の研究の始まりでした。

研究や実験を繰り返し、作品と呼べるような状態のものがやっと出来上がった時、二つの素材が影響しあって何かが生まれるということが、音の共鳴や響き合いのようだと感じました。

「響き」と「罅(ひび)」の発音の類似にも縁のようなものを感じ、一連の作品名に「hibiki」と名付けています。
作品名「hibiki」の後に付けている副題は、それぞれの作品の雰囲気を暗示させる音楽用語です。

制作方法

  1. はじめに、核となる陶器を焼成します。
  2. 次に、ガラスを溶かし陶器に付着させるため、耐火石膏等を用いた鋳型の中に陶器とガラスを仕込み、高温焼成します。
    冷却過程において、ガラスに貫入が発生します。
  3. 焼成後、型を割ってガラスを取り出します。